5:アドバイス編 仙丈岳
(本格的な装備を必要とするような登山は除きます。)

(1)靴について
  私のように甲高・幅広の典型的旧型日本人(?)の足に合った靴を見つけるのは、現在に至っては
なかなか難しいものがある。しかし、登山においては、格好やブランドより、とにかく足に合ったものを見
つけるのが第一である。登山店で試しに履いて、あれこれここが当たるだの言ってみたり、この機能が
優れているだの言われてみたりしても、実のところ、山に行ってみなければ分からないというのが本音
である。でも、これではアドバイスにもならないのでちょっとはまともなことを言おう。

(ア)少し大きめのものを買う。靴下の重ね履きで調整する。
(イ)夏用の軽登山靴(一部布製でもよい)で、足首まで保護されるものを買う。特価15000円位のもの
   で防水透湿性素材など使ってあるものならば、雪渓でも十分である。底の張り替えができるものな
   らば、尚よい。底が平らなものでなく、軽アイゼンが装着できるようにかかとが出っ張っているもの
   を購入すれば、少々の冬山でも使える。
(ウ)冬に準本格的に登山をするならプラスチック製の靴を買う。これはなかなか足形にあったものがな
   い。アイゼンも一緒に購入すること。
(エ)どうしても合う靴がない場合は、注文して革の登山靴を作ってもらう。これが究極の方法である。
   しかし、この方が夏にも冬にも使えるので長期的には安くつく場合もある。

 さて、これからである。新品の靴をはいて歩くときは、とにかく足を靴になじませながら歩くこと。昔、私の
友人が、新品の靴で槍ヶ岳に登り、帰りに靴の中が血だらけになって大変だったことを覚えている。新品
の靴は、先ず近くの低山で履き慣らすことが肝要である。
次に、もし靴が自分の足にぴったり合うよう(いくら歩いても大丈夫)であったら、靴底を張り替えて使うこ
と。私の今使用している軽登山靴は9800円の特価品だが、靴底を一回張り替えるのに8000円位かか
る。でも、ぴったり合ったものはとことん利用しようと思っている。注文した革の登山靴についても同様だ。
冬にも使えるように、保革油を塗ったりして手入れを怠らないようにしよう。
 また、キャンプの際にはサンダルを持っていくとテントの出入りが楽である。
テントで泊まるときは、靴をビニール袋に入れて中に入れるか、または、フライとの間のスペースに置く。
ただし、このときはビニール袋をかぶせておくこと。そうしないと朝、濡れていて困ることがある。

(2)雨具について
  最近の雨具は素晴らしい。遭難しても死亡する可能性が随分低くなったのではないかと思う。若い頃、
塩化ビニールでできた雨具しかなかったが、雨で濡れないようにするために使用すると、汗で体が濡れて
しまうという矛盾(?)した代物でしかなかった。リュックまで隠れるというようなものは、風が吹けばもうどう
にもならない、これもただのやっかいものでしかなかった。
新しい防水透湿性素材のウェアーがデビューして、初めは少々疑いながら使用したが、思ったより・・・とい
うよりはすごく感激した。雨が冷たくない!汗が気にならない。風を防げる・・・・・革命的であった。
最近はいろいろな素材のものが出てきている。それぞれに一長一短があるが、とにかく透湿性のよいもの
を購入しよう。命に関わる場合があるかも知れないので、雨具にはお金をかけること。2〜3万円と言うとこ
ろか。リュックに入れる大きさを考え、また、軽くてすこし生地の薄いものが透湿性もよいと思われるので、
店でよく確かめよう。冬山にも一番外側の着衣として利用できるので、これも少しだけ大きめのものを購入
すると活用範囲が広がる。
 この雨具、デザインや色の選択によっては、冬や雨の時に通勤着として利用できる。(私も利用している)
注意することは、汚れを洗剤と歯ブラシ等でよく落とし、撥水スプレーでまめに手入れをすること。原理的に
撥水性能が落ちると透湿性能も低下する。もちろん、藪こぎや岩登りを伴うようなハードな登山を目指す方
は、厚めの丈夫な生地のものを選ぼう。

(3)ウェアについて
  暑がりの私のことなので、参考にならないかも知れない。先ず、夏は上は速乾性素材のTシャツ。下は
ジャージという当たり前の格好である。ただ、どんなときでも、薄目のフリースの長袖のウェアを携行して行
く。寒いときはTシャツ、フリース、雨具で首にタオルをまけばもう十分である。日焼けの気になる人は、長
袖のシャツを用意しよう。とにかく速乾性素材はありがたい。濡れても寒くない。綿のTシャツでは汗が乾か
ず、冷たさが体に響く。短パンは気持ちがよいが、後で日焼けに泣く。手袋は軍手で十分。
 冬、どういう訳か基本的に夏と同じ!風が強いときは少し厚めのフリースを使用する。もちろん、八ヶ岳や
アルプスのようなところでは、その上に防水透湿性の素材でできたアウターに、ダウンの内張があるもの
を着る。そのダウンもファスナーで外せれば、山小屋内でも重宝する。手袋も防水透湿性素材のものを着
用する。天候の良い丹沢あたりの冬は、夏の格好で登るので、皆が驚くこともある。(とにかく生まれなが
らに(?)暑さに弱く、寒さに強い体質みたいな気がする。息子も同じ。)ただ、登山では速乾性素材に限ら
ず汗の成分が溜まりやすいTシャツは、替えを必ず持っていき、次の日は着替えよう。(でないと「臭い」が
漂うことになりかねない。)また、快適な睡眠を得る為に、肌触りの良い睡眠専用の綿のTシャツを持ってい
くことをお薦めする。藪こぎがありそうな場合は迷わず、長袖と軍手を用意しよう。
 冬山で油ぬきをしていないウールのセーター(高かっただろうなー)を着ている方を見たことがあるが、これ
などは最高だろう。雪のありそうなところ、日差しの強そうなところはサングラスかゴーグルを忘れずに。
靴下は薄い速乾性の化繊のものをはいた上に、ウールの厚手のものをはく。泊まる場合は、この化繊の
靴下の替えを忘れずに!
 下着も化繊のものがよい。ただし、着心地がいまいちなので山小屋でぐっすり眠ろうなどと考えている方
は、綿のものを別に持っていくとよい。翌日下山するならそのままでOK。
 老婆心ながら、ジーンズは高尾山程度のハイキング以外では着用しないこと。雨で濡れたりしたらモー大
変。
(4)ザックについて
  私は3つ持っている。日帰り用(15リットル)、長期用(70リットル)、2〜3日用兼沢登り用(40リットル)
である。今までたくさんのザックを買ったが、やっと自分に合うものを見つけ、それが生き残っている状態で
ある。沢登り用は本体にポッケットがない。もちろん、岩に引っかかったりしないようにそうなっているのだろ
う。厚い生地でできている。深い淵や滝壺でこのザックを浮き袋代わりにして泳ぐこともある。日帰り用はポ
ケットがいっぱいあり、ペットボトルを差し込んだりすることもできる。財布をちょっと入れたり出したりできる
のも便利だ。そして、長期用のこいつはでかいが一番安かった。9800円。背中にアジャスターがついてい
て、背負いひもの位置を調節できる。なによりも、こいつで荷物を担ぐとあまり疲れない。以前、かっこいい
某国の有名メーカーの何万円もするザックを買ったが、バランスが悪く、何か後ろへ引っ張られる感じがして
よくないので、数回使っただけでそのままお蔵入りしたものもある。でかいやつは途中にジッパー付きの仲
仕きりがあって2室にできるのだが、たいていそれは使わずに、上から下までど〜んと荷物を詰め込んでし
まう。いずれも洗濯をしたことが一度もない。汚れたら、乾かして、はたいておしまいだ。
 さて、ザックを購入するときには、とにかく物を詰め込んでバランスをみることと、背中にフィットするかどうか
試してみること、大きい物は腰のベルトで荷重を支えられるかどうかを見ることの3つが大切だ。腰のベルト
の位置が合わないものは駄目!最近は背中の蒸れを少なくするようなものも出ているが、使ったことがない
のでコメントは避ける。また、あまりに生地が薄い物も考えよう。以前、開口部のひもを引っ張ったら、バリッ
と本体が破れてしまったことがある。大きい物でふたと本体が離せてその間にさらに荷物が挟み込めるよう
になっている物がある。同行者が負傷したりして、急に荷物を運ばなければならなくなったときなど、便利で
ある。尚、リュックの中の荷物は、小分けしてビニール袋等に入れておこう。急な雨でもOKだ。
 雨具との関連で、ザックカバーは絶対購入しよう。ポケットが外に着いているザックでも、カバーしておけば
安心である。また、雪渓などではこうしたザックにまたがって、一気に下までロデオ大会という楽しみもある。
(雪渓は通常は危険なので、安全を確かめてから行うこと!!)また、夜道やトンネルの中の交通安全を確
保するためにザックの止め具などに反射テープを貼っておくとよい。

(5)必需品(水、衣料、食料関係とお金は除く)
  医薬品は携帯用のものがたくさん出ているのでそれを利用しよう。詳しくは(11)救急用品の項参照。
懐中電灯は絶対必要。なるべく小さく軽い物がよい。LEDのものは光を絞ることが難しいが、明るく長寿命、
軽くて、しかも壊れにくいのでおすすめ。替えの電池をお忘れなく。ちなみに私は、夜中に黒いボディーの懐
中電灯を落とし、どこへ行ったか分からなくなって困ったことがある。たまたま、光の出る面が運悪く下を向い
て地面に潜ってしまったのであった。
緊急用ブランケット・カバー等は小さくて軽いので、テントを持たない山行では、たとえ
日帰りでも携行しよう。
携帯電話は結構使える。尾瀬でも尾根筋・山頂ならOK、涸沢あたりもOK、重たい無線機を運ぶのとどちら
が安全なのか天秤にかけてみよう。ナイフと細引きはかさばらないので持っていこう。
あと、テレホンカード。山小屋の電話はお金はだめだがカードはOKというところが多い。
トイレットペーパーはあなたを救います。ボールペンとメモ用紙・・・バスの時間等をメモする。
地図と磁石・・・当たり前か。私の時計は方位と高度計測機能が付いているのでとても便利。
 以上で私が必ず持っていく物は全部(水と食料関係は除く)出た。
*「あれば便利な物」というのがあるが当たり前だということで、コメントしない。ただ、そういうものは何も使
  わない、あるいは使えないまま下山してしまうことが多い。余計なものは持っていかないこと。
*最近、GPSなるものが登場した。世界標準と日本標準はあと2,3年しないと統一されないようだが、地図
  をダウンロードして入力することができるものもあり、これはいずれ必需品となるであろう。

(6)テントについて
  昔から黄色の物(虫が寄ってくるような気がする)が多かったが、最近はカラフルになってきた。防水透
湿性素材を用いた物も出ている。これはちょっと重いような気がするし、外の湿度が高い場合などは逆効果
になってしまうのではと考えたりするが、しかし、そんな心配をしながらも十分役に立っている。雨の時はフラ
イがあった方が、食事を作るスペースができるので便利。普段はフライはいらない。冬は専用カバーが必要。
防水透湿性素材でないものも、フライ付きならば先ず心配ない。入り口のジッパーの微妙なものが多く、ちょっ
と油断すると閉まらなくなるのが難点か。テントは入り口を閉めペグを利用してフライと共にピーンと張ること。
付け加えれば、最近のものは底も一体化しており、ナイロン製である。そのため滑りやすく、かなり緩い傾斜
地であっても、銀マットごとズルズルと就寝中に移動してしまうことがある。夜、そのために目が覚めてしまい
眠れないこともある。平らなところに張るように注意しよう。テントの骨は予備を1本持っていくこと。家に帰っ
たら風通しの良いところで乾かす。防水透湿性素材のものは必ず撥水スプレーをかける。ついでに底の縫い
目に防水液を塗っておけば完璧だ。
また、単独山行専門ならば支持棒付きのツェルトで十分。

(7)計画について
  とりあえず地図や案内書を購入して、休憩も含めたおおまかな所用時間チェックする。見所のチェックも
忘れずに!次に交通手段・時間のチェック。これはTELして確かめよう。最近はインターネットが使える。
人数によってはバスよりもタクシーの方がさほど料金も変わらず快適な場合がある。さて、大勢で行くときは
役割分担、荷物の分担が必要だ。そして一番大切なのが天候チェック。これもインターネットで調べよう。
食料計画、携行品、グループ分け、リーダー、サブリーダーの決定・・・・・・・山ほどやることがある。
で、肝心なのはリーダーのこころ構え(経験)なのだ。

1:多数決は採らない。
2:大勢の時はためらいがちだが、天候の悪化が予想される場合はきっぱりと山行をやめる。
3:メンバーに経験や体力のばらつきがある時はエスコート役を決めておく。
4:ルート全体のチェックをし、無理をしないようにする。
5:全体の統制を乱す輩は連れて行かない。リーダーの指示を必ず守るように徹底しておく。
6:確実なエスケープルートを確認しておく。
7:役割分担をきちんとする。
8:グループ内のもめ事の解決をする。

以上のことを念頭においておこう。
 計画書は必ず作成し、緊急のときの連絡先、携帯電話番号なども記入しておく。登山口でポストに入れる。
ちょっとした山行なら旅行保険に加入しよう。救援者費用が気になるところだ。
個人でも行き先や連絡先は必ず家族に連絡しておくこと。
 さて、いくら綿密な計画を立てても事故が起これば、あれこれ言われることは覚悟しよう。
ヒマラヤで命を落とした友人がいた、ただ一言、「不運だった」としか言いようがなかった。
槍ヶ岳で遭難しかかったグループと出会い、そのために一緒に遭難したことになった者もいる。
しかし、それでも計画がどうのこうのということは出てくるのである。だから、「運」以外の失敗を避けるための
最大の努力を計画の段階で行うと考えよう。
上記8のグループ内のもめ事の解決に気を遣うのは、軽いことだけでよい。ちょっとした誤解をとく程度で十分。
後は当事者に大人の話し合いをさせれば良い。良くあるのが、初心者と経験者の間の誤解。経験者は雷雨が
近づいててきたら危険な山道になりそうなので、ここである程度頑張って稼いでおかないといけないと考え、
初心者に「もう少し頑張りましょう!」と声をかけても、「私はあなたみたいに体力がある訳じゃない!休ませて
よ!」なんてことや、歩くのが遅い初心者を励ますつもりで「リズミカルに行こう!」と言ったのが、逆に「私はど
うせ亀みたいにのろいんだからどーでもいいじゃない。」と皮肉られたりすることもある。特にもともと山があまり
好きでない人には経験者の言葉が「面倒をかけるんじゃねー!」ぐらいに聞こえる場合がある。初心者はこれ
で居直り、経験者はバカじゃねーのと思っていたりする。ここらへんの誤解をとく位まではリーダーの仕事かな。
ここらへんのもめ事を解決しておけば、山行はきっと全員にとって気持ちの良いものになるに違いない。

(8)食事について
  さて、日帰りならばにぎりめしを持っていけばいい。ただし、家から持参するものは注意しないと、長時間
の密閉環境、暑さ等で痛む場合がある。山で腹をこわすと大変だ。コンロがあればアルファ化米を利用しよ
う。缶詰を持っていって缶切りを忘れる場合がある。ナイフがあれば何とかなる。昔、大きな釘がたまたま落
ちていたので、それと石を使って缶をあけたことがある。長期間の場合、ベテランならばペミカンを作って持っ
ていくかもしれないが、「ペミカン」という言葉自体、もう死語のようなものなので、解説はしない。
 一番利用されているのはやはり、レトルト食品であろう。暖めるだけでよいものが多いので楽だ。ご飯なら
容器付きのものもあるので、余計な食器を運ぶ手間も省ける。また、キャンプ場の炊事場・流しを汚す度合
いも小さくなる。本当はコッフェルでご飯を炊きたい所だが、環境に配慮してレトルトにしている方も多いと
思う。流し場の下にご飯粒や、ソーメンのかすなどが溜まっているのを見ると、がっかりすることがある。
行動食中心ならば○○メイトのようなものがよい。補助食品として、チョコレートやビタミンC等を含んだ粒状
の菓子などを持っていけば万全だ。
 食事は時間にこだわらず、腹が減った時にとればよい・・といってもそう理想論ばかり言ってられないので、
腹が減ったときに景色のよいところやキリのよいところ、また、水のあるところなどで大きな食事はとることに
し、途中で時々、小物(チョコレート等)を少量ずつ食べるようにすればよい。
 水はまめに補給すること。ただし、○○スエットのように体に素早く吸収されるものは、長い登りには向かな
い。一気に汗が出てきて、ド〜っと疲れてしまう。普通の水が一番。ゆっくり吸収され疲れない。頂上に着い
たらジュース類はOKだ。アルコール類は個人差が大きく、私のようにアルコール虚弱体質の方は絶対に
登山中は飲まない方がよい。アルコールがすぐに体をまわって、ふらつくことがあり危険だ!山小屋にでも
着いてからビール等は飲むことにしよう。

(9)シュラフについて
  私は2つ持っている。夏用の化繊のものと3シーズン用のダウンのものだ。このダウンのものはカバー
をすると、ちょっとした冬山でも十分使える。夏用の化繊のものは軽いし、雨で濡れても乾きが早く助かる。
いざというときはちょっとくらい濡れていても、寝ることができる。綿だと冷たくてどうにもならないだろうが、
化繊は濡れていてもちょっと体になじませれば冷たくなくなる。以前、仙丈岳に登る途中ものすごい雷雨に
出会い、上から下まで、荷物も何もかも全部びっしょりになってしまったとき、ど〜やって寝ようかと真剣に
考えたが、なんと、化繊のシュラフ(よく水を絞ったが)で大丈夫だったので自分でもびっくりしたことがあ
る。私のように暑がりの方はシュラフの横がジッパーで開けられるものがよい。保温上は袋状のものがよい
のだろうが、冬でも私なんぞは暑がりで、就寝直後の高体温をなんとか逃がすため、横に足を出しておくよう
にしている。ある程度冷えたらジッパーを閉める。
 羽毛製品は小さく、軽く、保温性がよいのでお薦めだ。ただ、濡らしたら厳しいので、テントの中でもカバー
を使おう。防水透湿性のカバーがよい(テントの中で濡らすことが結構多い)。これで、冬の黒百合ヒュッテ
ぐらいまでなら十分だ。羽毛製品には使用温度の範囲が明記されている場合が多いが、厳冬期に利用す
るのでなければ、3シーズン用か、念のため−10℃位までのものでよい。(寒がりの方は別!)
2点ばかり。1点目。よいカバーがあれば、夏などに奴隷船状態の山小屋を避けて、外のベンチで寝ること
ができる。2点目。羽毛のシュラフは着衣との関係で思った程の保温状態が得られない場合があるようだ。
羽毛製品の着衣に羽毛のシュラフが一番暖かいような気がするが、どうもそうではないようだ。どっちかと
言うと薄着の方が保温性がよいような気がする。
 シュラフの背中側は当然、薄くできているのでマットを利用することになる。俗に言う銀マットはかさばる(
かさばるだけなら余り問題はないのだが、行動中に岩の角などにぶつかって危険なことがある)ので、折り
畳めて、広げると中のスポンジの働きで自然に膨らみ、かつ、息を吹き込んで空気を補充できるようなもの
が最近の流行だ。ただ、ちょっと高価である。

(10)歩き方について
  よく「30分あるいたら5分休め」などと言われているが、あまり気にしないことだ。急なところもあれば、
緩やかなところもある。急なところは10分で3分くらい、緩やかなところは60分で10分くらいだろう。その
急なところの3分休みでは荷物は下に降ろさないで、息を整えるようにしている。緩やかなところの10分
休みでは荷物を降ろし、どっと足を伸ばして休む。水を飲んだりする。ただ、これはパターンであって、もっ
と全体的な面から休息を考える必要がある。いくら急なところでもそれが長く続くようなら、30分に1回は
長い休息をとる必要があるし、緩やかな下山なら60分で5分ということで十分であろう。大切なのは、疲
れてないように感じられても、必ず休みを入れることだ。ちょっとしたところで疲れの為につまずいて、危
険な目に遭うことがある。
また、マナーとして後ろに追いついた人がいたら、せっせと道を譲るべきだ。もちろん、基本的に登り優先
ということもある。特に大きい団体のときはリーダーやサブリーダーの適切な指示が求められる。

(11)救急用品について
  最近はポータブルな医薬品が開発されている。錠剤などはケースに入れておく。
(1)(2)(3)
(1)は胃薬、風邪薬、整腸剤(下痢止め) (2)は傷薬(消毒薬カプセル、痛み止め・解熱剤) 
(3)は清浄シート、傷テープ)
これらをビニールのパックに入れていつも持ち歩くようにしている。痛み止めと解熱剤は普通、兼ねている
ものが多い。私は腎臓結石がいつ出てくるか分からないので、強力な痛み止め(普段は冷蔵庫に保管)を
いつも持っている。この他にテーピング用のテープを持っていると靴擦れの予防的処置が可能だ。

(12)高山病について
  これは基本的に「慣れ」と言う問題ではない。「体質」が大きく影響する。もちろん、そのときの体調も影
響するが、リーダーの的確な判断が大きく生命を左右する。よく資料等を調べて研究しておこう。日本では
標高1900M位から起こり得る。八ヶ岳の赤岳鉱泉辺りからだ。キャンプの2日目あたりから、風邪気味だ
なんていうのが始まりだ。休養をとったところでどんどん悪くなる。意識がもうろうとしてきたり、熱がでたり
することもある。とにかく意識がある内に、一刻も早く下山することだ。連絡が付けば登山口の所まで救急
車に来てもらう。
 過去の経験では入院に至った場合が一度ある。また、3000M近い山頂付近で頭痛を訴え、少し休ませ
てくれと要求されたが、無理矢理、超特急で下山させ、回復した者がいた。これはあらかじめ本人が造血
剤を日頃服用していることを知っていたのでピーンとくるものがあった。リーダーはメンバーの日常の様子
を掴んでおく必要がある。用心深い人だとポータブル酸素用具を持っていく場合があるかも知れないが、
数分しかもたないものもあるので、よく仕様を確認しよう。

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